多くの工人が集い、交流した湯町の
往時を物語る120年の意匠
往時を物語る120年の意匠
初代・柿崎伝蔵は鳴子で木地業を学び、その弟子の井上藤五郎が遠刈田(とおがった)で修行、そのふたつの流れを汲んだものが肘折系こけしです。太めの直胴には黄色の地を敷き、絵柄は重ね菊やなでしこなどの草花で、肩には段が入り、頭頂部に放射状の手絡(てがら)をつけています。現在、地元で継承する工人は鈴木征一氏ただひとり。肘折こけしは、新型の影響を大きく受けることがなく、120年前の原型に忠実に今も伝統が受け継がれています。
手技が光る個性的な表情は
圧倒的な存在感で多くの人を魅了
圧倒的な存在感で多くの人を魅了
型は鳴子系、描彩は遠刈田系が色濃いながらも、肘折系を象徴するのは、やはりパッと目を引くこの表情。三日月形の目元、輪郭を描いたくちびるはじつに個性的です。また、元来子どものおもちゃとして作られたため、大型のものは頭抜きをした頭部に小豆を入れて、音が鳴る仕組みになっています。戦前後で大きく形態が変わらないため、収集家が多いのも特徴です。
●こけし
鈴木こけし店
〒996-0301 最上郡大蔵村大字南山2126-291
電話:0233-76-2217
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