相良家に代々伝わる秘伝の書
全国の土人形のほとんどが地域の名前に由来しているのに対し、相良人形は人の名前が付けられています。これは、人形づくりの技術が、初代から3代までが書き継いだ人形製作覚書『人形拵(こしらえ)秘事控言(ひじひかえごと)』によって一子相伝で受け継がれてきたことによります。この書は、近年まで門外不出だったため、相良家以外の人間が目にすることはありませんでした。
研究者たちの注目を浴びて
相良家10代目の隆氏が、戦後相良人形を復興した後、知人の研究者に『人形拵秘事控言』について話したところ、土人形としては珍しい貴重な歴史的資料であることが発覚。専門家の注目を集め、解読が行われました。これにより相良人形は、伏見人形や堤人形、京人形の仕様を取りいれ、独自の発展をしたことが判明しました。
『民藝555号』(平成11年)日本民藝協会発行など。