稲穂の写真

幻の好適米「豊国」について
「豊国」とは、明治時代に旧余目町の篤農家(とくのうか)によって育種された水稲で、大正期には山形県の三大品種のひとつとなり、酒造米としても活用されました。稲藁も、背丈が高く、節間が強く、漂白が効くことから、“草履表に最適”と、西村山郡で作られる草履表のほとんどに使われていました。しかし、戦後になると、稲が倒れやすいなどの理由から次第に作られなくなり、20年以上前に消滅。幻の米稲となってしまいました。
稲刈り作業と草履を作る作業の写真
写真提供4点/軽部草履

日本酒「千代寿」と草履の写真

地場産業再興プロジェクトが始動
この稲に着眼したのが、寒河江市の酒蔵「千代寿(ちよことぶき)虎屋」。平成4年に幻の稲を復活させ、豊国を使った日本酒の製造・販売を始めました。さらに、稲藁を使った豊国草履も復活させようと、平成15年、軽部草履や寒河江市の関係者たちによる豊国活用研究会を発足。市を挙げて、「豊国」を活用した地場産業再興プロジェクトに励んでいます。

研究会のメンバーで栽培し、刈りとる「豊国」は、お米を日本酒に、藁を草履表にと、無駄なく有効活用しています。


クローズアップ
豊国活用研究会

毎年秋に開催する、豊国田んぼの収穫祭にて。芋煮と日本酒で親睦会を開催。

豊国の栽培と活用に
皆の誇りとロマンをかけて

平成15年に発足した同研究会は、酒蔵「千代寿虎屋」代表取締役の大沼保義氏を代表に、軽部草履、豊国耕作者の会、寒河江市、寒河江市商工会、JA寒河江西村山の計6団体で構成。「かつて、ここは日本一の草履生産地だった」という地域の人々の誇りとロマンを胸に、地場産業再興に向けて、活動を進めています。

豊国活用研究会のみなさんの写真
写真提供/寒河江市