経(たて)糸と緯(よこ)糸をそれぞれ準備します。板は、絣の文様の設計図に合わせて、数ミリ単位で溝が掘られている板染め専用のもの。ただし、近年は複雑な文様を彫ることのできる板大工がいなくなったため、新たな文様の板製作は難しくなりました。

一枚ずつ板に糸を巻きつけながら、板を重ねていきます。この時、糸の張り具合が変わってしまうと、染色後、織り合わせた時に柄がずれてしまうため、細心の注意を払いながら進めます。

30～50枚の板を重ね終えたら、上下に押し木を当てて仮締めをして、板溝の微妙なずれを木ベラで合わせていきます。この時、溝をきちんと合わせないと、糸に絣文様がつきません。

板の仮締めを固く締めなおし、染め流し台に運んだら、お湯をかけ、板と糸をなじませます。さらに本締めをしたら、天然の植物染料クリスタルヘチマンをひしゃくで板にかけていきます。この作業を「ぶっかけ染め」といいます。

ぶっかけ染めを１時間ほど続けたあと、板をはずし、染め上がりを調べます。糸についた縞模様が着色した部分で、板に彫られた溝と同じ模様です。

染め上がった経糸と緯糸を乾燥させ、それぞれに糊付などの作業をくり返したら、経糸の地になるもの・絣になるものを男(お)巻に巻き取り、それを設計に従って本数に割り込んで、綜絖(そうこう)・筬(おさ)に通します。

経糸と緯糸の模様を一本一本合わせながら、織っていきます。「鬼しぼ」という大きな皺が特徴の「白たかお召」は、この時、緯絣糸の間に強撚糸（右撚り左撚り）を交互にそれぞれ規則正しく織り込んでいくことが必要です。一反の幅の中に200～250もの文様が織り込まれるため、ひとつの大きさはわずか数ミリ。熟練した職人でも１日に20～30cmが限界といわれています。

こうして織られる白鷹絣の文様は、蚊絣や十文字、亀甲など。通常の染色技術では難しい細やかな文様に仕上がります。また「白たかお召」の場合は、織った後にお湯に浸すことで、独特の鬼しぼの風合いを引き出します。